社会人大学院に合格するまで①:海外大学院か、国内か?

POSTGRADUATE UTOKYO

ご無沙汰しておりました。

2020年夏から時は流れ…気づけば2021年も2月になってしまいました。時は流れど、自分は流されてたまるか!とコロナ禍に揺れる世の中で一心不乱に走り抜けてきた気がします。

人との接触が減ったのを良いことに「誰かに見られたい、評価されたい」というのを一旦抜きにして、今出来ることを探して粛々と取り組むスタンスで自分と向き合って過ごしているので、ある意味いいデトックス期間にもなっています。

さて実際のところブログも更新せず、約半年間、何をしていたかというと

① 転職先のスタートアップ企業での仕事を軌道に乗せる
② 大学院研究のための準備をする
③ 家族(主に夫)との時間を大切に過ごす

上記の3つにパワーを使っていました。(③に関しては穏やかに&省エネでいきたいところですが…新婚モードも抜けてきて生活力が試されています)

この記事ではふたつめの「大学院研究、進学」について書いていきたいと思います。

イギリスから帰国したアラサー社会人が大学院進学を決心して合格するまでのちょっとした体験記として、何かのご参考になればと思います。

1. なぜ大学院進学か?

この記事では、「海外の大学院か?国内の大学院か?」と進学先に悩んでどう決めたかをメインにお伝えできたらと思いますが、その前提となるWHY?の部分も少々書いておきます。

「情報技術×組織づくり」の専門性を身に着けたい

これまでのキャリアでIT畑に身を置いてきて、テクノロジーの可能性を感じる一方で、その活用の課題に問題意識を持つようになりました。「良いからどんどん使おう」が通用しないとき、人由来あるいは組織由来の背景から紐解いてあげないといけないと思っています。

昨今、情報技術の進展にコロナ禍の影響が加わることで「個人」と「組織」の関係にもゆらぎが生まれています。(恐ろしいことにかれこれ10年ほど前になりますが)学部生時代は組織論研究をしていたこともあって、もともと個人と組織の関係づくり(=組織論)とパフォーマンス向上(=戦略論)というテーマに興味がありましたが、社会人になり「超個人主義の外資系企業」「イギリス現地のスタートアップ企業」の両極端のふたつの環境を経験したことで、このテーマをより自分事に感じられるようになりました。

そんなわけで、社会人6年目かつ時代の潮目のこのタイミングで、情報学を社会学的なアプローチから学びなおしたいという気持ちが強まったことが、大学院進学の理由のひとつでした。

「仕事以外」のインプットの場が欲しい

1日の時間の大半を仕事にあてているなかで、自分から意識的にインプットをする時間を取らないと「過去の自分の経験ベース」でしか物事が語れなくなってくることに閉塞感と責任を感じるようになりました。(このブログからもしばらく距離を置いてしまった理由もここに関連しています💦)

仕事から得られるインプットも素晴らしいですが、社会人経験のなかで持った問題意識を学びなおすことで社会に還元できるように「仕事以外」のアカデミックなインプットの場が欲しいと思ったのがふたつめの理由です。

研究のインプットは実践である仕事に活かせるという面もあります。ただ逆に、仕事と研究テーマの近さが懸念となることも大いにあるかと思います。実際に院試前の研究室見学でも「切り分けた方が上手くいくかも」というアドバイスもいただきました。(研究室見学の話は改めて記事にしようと思います🙄)

いづれにしても、経験にもとづく問題意識は社会人大学院生の強みでもあるので、インプットという意味では、いかにキャリアと研究を関連付けて研究意欲につなげるかということが常に付きまとうだろうなと、個人的には思っています。

「夫」の影響ー国際協力に生きる彼からの助言

実はこれが大学院進学を考え始めた最初のきっかけでした。

そもそもYMSでビザを取って渡英したのも、夫(当時は婚約者)のイギリスへ進学が理由でした。詳しい事情はこちらのまとめページにも書いています↓

VISA
イギリスYouth Mobility Scheme(YMS)抽選からビザ取得までの流れ、ポイント、失敗談をお届けします。

イギリス時代、夫の側で研究の様子を見ていく中で、国際舞台で対等に評価され、渡り合うためには「修士号 / 博士号」が必要になるということが身に沁みて理解できるようになりました。もちろん学歴がすべてとは思いませんが、キャリアの幅を広げるために一定の前提となるのは事実です。

もし今後、夫の駐在先が変われば私もその土地でキャリア構築していくことになります。開発途上国に行けば、私の就職先が国際協力団体や行政関連に絞られるかもという話を夫からされたこともあります。そんなこともあり、自分のアカデミックのベースを一段高いところに持っておきたいというのが大学院進学を目指した(リアルな)もうひとつの理由でもありました。

2. どこ行く、何する?海外大学院か日本国内か?

ここから本筋、HOW?の部分のお話です。

大学院探しの軸となっていたのは「情報学×社会学(組織論研究)」を学際的に研究できるコースがあるか、という部分でした。

進学先を検討していた当時YMSでイギリスに住んでいたこともあり、はじめに浮かんだのはイギリスの大学院でした。あとはカナダのUBC。(UBCは自然豊かなキャンパスが美しすぎて環境的に憧れました…)

下記、(★)箇所は在英中に見学も行った大学院です!

検討した海外大学院(カッコ内は学科、コース)
  • イギリス

London School of Economics and Political Science / LSE (MSc Management of Information Systems and Digital Innovation)(★)

King’s College Master (Digital Culture & Society MA)(★)

SOAS University of London (MA Global Digital Culture (Global Media and Communication)(★)

Cambridge University Master (MPhil in Sociology (The Sociology of Media and Culture) OR MPhil in Engineering for Sustainable Development

University of OxfordMSc in Social Science of The Internet)(★)

Kent University MasterScience Communication

  • カナダ

The University of British Columbia /UBC (Master of Library and Information Studies (MLIS)

海外大学院を検討してみて率直に思ったのは、情報学研究となるとMA(Master of Arts)というよりMSc (Master of Science)に偏ってしまい、このふたつの架橋的な立ち位置で研究できるコースがなかなか無い…ということでした。

(博士号も視野に海外大学院は検討したいので)今後も情報があれば仕入れておきたいと思っているのですが、当時検討している中では海外の大学院候補のなかでピンとくるものがなかった、というのが正直なところでした。

そんなこんなで、日本国内の大学院も検討してみようかなと本格的に思いはじめたのが2019年秋~2020年1月ごろでした。

3. 志望校決定のワケとそこから学んだコト

さらにこれは消極的な理由になりますが、海外の大学院検討をしていたときから「学費」「環境」は気になるところでした。

特に学費に関しては、奨学金を取りに行くのがマストだったので並行して調べていましたがなかなか条件のハードルが高い…すぐに応募できるかというところに壁がありました。また当時のイギリス暮らしのなかで、日本の家族と離れて過ごす環境は(夫が側にいるとはいえ)孤独を感じる部分もあり、「夫も支えたい、自分のキャリアとしてもきちんとやり遂げないといけない」という気持ちも日々のプレッシャーになっていたので、来年から海外大学院に進学したところでやっていけるのだろうか、という心の問題もありました。

というわけでさきほどの「希望するコースの選択」という積極的な理由も含め、総合的に判断した結果、2020年夏に日本国内の大学院受験、並行して2021年受験(2022年入学)で海外大学院の準備をするというタイムラインを引くことに決定しました。

第一志望は日本国内の大学院に置いて応募条件を整え、まわりの環境も加味しながら海外大学院も視野に入れるというプランでした。(実際はこの後コロナの影響が拡大してきたため、海外大学院は見送ることになるのですが…)

今振り返るとこの実現可能なタイムラインを引く、というところが結果的に心の余裕につながって、良かったんじゃないかと思っています。

…「焦らない、その代わり地に足つけて打算的に」というのが社会人大学院キャリアのコツかもしれません。

 

引き続き、社会人大学院の受験や修士課程のエピソードなど、つらつら書いていこうかなと思います!

今回はこのあたりで🖐🏻🖐🏻

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