【体験談】COVID-19 イギリスからのギリギリ帰国レポート

LIFE

4. 2020年3月30日② ~ホテル封鎖の危機~

コロナ予防のため、家を出るときに大家さんの立ち合いもなし。

大荷物を引きずって玄関を出て、ドアの郵便受けに家の鍵を投げ込みました。

あっけないな。

日本に帰ってどうしようとか、考えることは沢山ある気がしましたが「とりあえず無事に帰国しよう」とだけ心に誓って、街を離れました。

思い出とか、感慨とかまるで皆無。

とりあえず予約していた電車に乗り込んで、リーズ駅に向かいます。電車には誰も乗っていなくて、不気味なくらい静かで、本当にこれで空港に行けるのかなと不安になるほど。

これ、あのリーズ駅ですよ!15時すぎです。ロックダウン最中の様子、こんな感じでした。

ご覧の通りすっからかん。

でも心配していた電車の運休や遅延はなく、スムーズにマンチェスター空港駅まで到着。

 

「イギリス脱出計画、意外と余裕かも?」

 

マンチェスター空港周辺は本当に何もない。空港しかなくて、あとはホテルがぽつぽつと。

ピカデリーの市内に行けば(平時なら)賑わっているけど。

何もないし、さっさとホテルに向かって休んで、明日のヒースロー便に備えようと思い、

駅でUberを呼んでホテルに向かいました。

タクシーのおじちゃんはこれからどこに帰国なのか、大変だね、と声をかけてくれて、

久々のリアルな人との交流に心和みました。

 

やっとホテルに着くと、何かおかしい。静かだし暗い。

なんか張り紙ある…

?!?!?!?!?!

意味分からん。予約も取れているのに、ホテル閉鎖の連絡なんて事前にひとつもなし。

今日どこに泊まるの、野宿?なんで事前に教えてくれないの?何が起きてるの。understandingしてないわ。

最悪すぎる。

慌てて戻って、トランクからスーツケースを取り出してくれているUberおじちゃんに事を説明して二人で唖然。このあたりのホテルはコロナの影響で閉鎖が出てるのは聞いたけど、予約とれてるのにそれはおかしいと。

そこからは、とりあえず他のホテルがないかをおじちゃんと手分けして電話をかけまくりました。

貼り紙にある番号はかけても意味ないだろ、とおじちゃんが言うのでとりあえず市内のホテルに電話。

結果、どのホテルにかけても

「政府のアナウンスを受けて、一般人の宿泊は当面見合わせている」

「あなたはキーワーカー(医療従事者や政府関係者)ですか?」という話ばかり。

全滅。

 

マンチェスター空港のなんもないところで野宿はやばすぎる…と絶望していたそのとき、

ホテルの玄関からマネージャーらしき人が出てきました。

最初はすごい勢いで文句を言ってまくしたてましたが、マネージャーからの「申し訳ない、でもアイディアがある」という言葉を聞いてとりあえず落ち着くことに。

 

「このホテルなら唯一、一般人受け入れをしている。まだ空室の可能性があるかも。」

 

そういって教えてくれたのは、マンチェスター空港の滑走路、目の前のホテル。

オンライン予約の段階では空室ゼロだったホテルでした。

半泣きでここに電話すると、奇跡的に空室を確保できるとのこと。

 

このとき、ホテル探しから1時間半以上たっていました。(今思えば貼り紙の番号にすぐ電話かけて、最初からこのマネージャーに何とかしてもらえばよかった)

 

疲労困憊とはまさにこのこと。イギリス最終日なのに、やっぱり感慨に浸る暇も無し。

5. 2020年3月31日 ~カラカラのヒースロー空港~

ギリギリ予約できたホテルに滑り込み、何とか翌日を迎えることができました。

早朝、マンチェスターからロンドン・ヒースロー空港には無事に到着。

「とりあえずノースヨークシャーから脱出できた」という思いと「お願いだからロンドンからの日本便はトラブル無しで飛んでくれ」という気持ちでヒースローのベンチに座っていました。

乗り継ぎは5時間。しんどすぎる。

普段ならカフェ、レストラン、免税店だってあり余るほど開いているヒースロー空港ですが、このとき開いているのはBootsくらい。あたたかいコーヒーを買えるお店もなく、Bootsの水分のないパサパサのサンドウィッチを見て余計に食欲も湧かず、ひたすらベンチに座っていました。

のど乾いた…

人もいないヒースロー空港。

こっちもカラカラ、か。

 

そんなこんなでなんとか凌いで、無事に定刻通りのBritish Airに乗り込んだとき、

ようやく帰国の実感が湧いて安堵となんともいえない寂しさが込み上げてきました。

これが感慨ってやつか。

 

離陸して、ようやくサーブされる飲み物と食事に期待していたのですが、これも裏切られることに…

コロナ対策ということで、普段のような食器でサーブされる食事は無し。

 

透明なビニール袋に、(しかも口がギュッとしばってあって「え?何これ?」という感じ)

ラップサンド、レモンクッキー、スナック、300mlの水ボトルが入っていました。

これプラスドリンクのサービスのみで12時間でした。地獄。

 

口の水分全部持ってかれる…あたたかいものが飲みたい…と思い続けながら、じっと我慢。

こうして、カラカラ地獄は空の上でも続いたのでした。

6. 2020年4月1日 ~日本到着、カラカラ地獄の果て~

無事に着陸。機長からのアナウンスがあり検疫書類を記入してから降りてほしい旨を聞きました。

このときはまだCOVID-19指定国への滞在歴がない場合は、PCR検査なしで入国ができる状況でした。ただし、空港から公共交通機関を使っての帰宅は禁止。また帰国後14日間の自宅待機の誓約書を記入しました。

記入が終わり、機体を降りると落ち着いた日本の景色。匂いが二ホン!

空港のオリンピック・パラリンピック2020の看板が寂しい。

きっと今年は無理だろうと思いつつ、横を通ってすぐに検疫へ進みました。

検疫では体温の検査と検疫官による質問を受け、問題がなければすぐに検疫通過をすることができました。

(今思えば、かなり危うい水際対策だったような)

 

長い長い、トラブル続きの旅でしたがこうして無事に帰国することができました。

 

2週間ロックダウン下で過ごし、コロナで職を失い、イギリス最終日に野宿しかけるというハプニング。

そしてカラカラの食事の果てに、ようやく空港で家族と再会することができました。支えてくれた人に感謝…

 

「ようやく戻れたね、おなかすいたでしょ」と再会した家族に手渡されたもの…

 

…母の手作りおにぎり🍙でした。

 

カラカラはどこまでもつづく、、、水、飲みたい。笑

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